ナムディン農業高校レポート(神田代表理事)

ベトナムではめずらしい「入学式」

 ナムディン農業高校は、9月 5日に新入生 88名を 2年生の 53名が迎えるという形で入学式を行いました。ベトナム中央政府の農林大臣、ナムディン省の知事、日本大使館の一等書記官も参加しました。テレビ報道も、ベトナムではめずらしい入学式ということで関心を集めました。

在校生がソーラン節を披露
入学式でスピーチする神田代表理事

 ソーラン節やベトナムの民族芸能が披露され、農林大臣は環境に配慮した農業を中心とした新しい循環経済の人材の養成が必要として熱弁を振るいました。教師たちや生徒たちの手作りのお弁当で昼食会も盛大に行いました。

 授業も日本人の小倉先生(鹿児島から派遣)が楽しく科学を学ぶということで、農業と環境について毎週はりきってやっています。この授業は、模範として教師たちが学ぶということで、2年生の二つのクラスを担当しています。

 1年生は、パンづくり、ケーキづくり、ピーナツバターづくりを学んでいます。生徒によって、おいしさが違うと、楽しく議論しています。また、それらの栄養についても勉強しています。日本からの、この分野の教育実践の専門家がまだきていません。小倉先生のように、堆肥作りなどと結びつけての授業実践になっていません。ベトナムでは、科学的なことを教えるのは座学中心で、体を動かして体験的に学ぶということがなく、理科なども実験などはありません。発展途上国の現状では、その教員養成もされていません。

 日本のように教員養成や教科書がきちんとなっているところでは、管理的な画一的なスケジュール教育になりがちですが、ナムディン農業高校では、整備されていないところなので自由にできる面もあります。

ベトナムの教育環境の整備はまだまだこれから(写真は入学式の様子)

教師や教室の数が絶対的に不足している現状

 基本的なカリキュラムは、大きく二つの授業科目で農業専門はシンプルになっています。

 普通教育は、日本の農業高校とかわりません。数学、物理、地学、生物、化学、文学、歴史、国民教育、進路教育などからなっています。理系の科目が多いのが特徴ですが、座学中心です。

 課外活動は、サーカー、バトミントン、バレーボールなどのスポーツクラブがありますが、遊び的なクラブです。また、美術部と音楽部は、物置小屋を生徒自身が改造して、部室にしています。

 今年は入学の希望者が多く、88名の入学ですが、現在の校舎や寮の関係から、少し絞る必要があるのではないかということで、ここが一番頭の痛い問題です。先生や教室の数が絶対的に不足しています。

 また、先生の給料が安いベトナムの現状は、多くの教師が塾や他のアルバイトをしています。

 若い先生が中心になっていますが、給料の問題が大きな課題です。ベトナムでは1000万ドンなければ生活ができません。以前の昨年の為替レートで 5万円、今年で 6万円ほどです。

 ベトナムでは国の財政が貧困で、外国資本依存の経済構造の中で、教育費までまわっていないのが現状です。日本政府の援助も教育費にはまわっていないのが現状です。

今年も多くの若者が入学しました(写真は入学式での一コマ)

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