ナムディン農業高校の取り組み(神田代表理事レポート)

日本モデルの農業高校の看板が門に大きく書かれています。
日本の浴衣を着て記念撮影。
農業・農村の開発大臣と神田代表理事との握手。

 ナムディン農業高校は二年生53名、一年生が88名です。2年2クラス、1年4クラス。午前中が普通教育、午後が農業専門教育です。農業専門は、環境と農業、農産物加工と食品科学の二つの分野で授業が組まれています。
 外国語は日本語で週6コマです。日本語教師は6名、農業専門の常勤8名、生活指導員1名、守衛2名で、普通教育は教育委員会から派遣されています。農業開発局から2名の専門教員が派遣されています。主に、堆肥センターの指導と管理です。この他にJICA派遣3名です。

 クラブ活動は、サッカー、卓球、バトミントン、音楽、美術です。それぞれに特別の指導者がいるわけではなく、常勤の教員がつきあっている状況です。学校全体としては、なわとび体操や文化祭などの学校行事の催しのベトナム民謡、日本のソーラン節を教えています。

多くの生徒が日本で働き、学びたいと思っている。

 将来の就職希望は、日本への進路を考えています。多くの生徒が日本好きで、日本で働き、学びたいと思っています。ナムディン地方の出身者が3分の2です。3分の1がベトナム全土から来ています。山岳民族などの貧困家庭には、農業大臣から奨学金が出ています。
 寮生は90名を確保していますが、現在は60名が入っています。昼食は生徒と教師全員が食堂で食べます。一食130円ほどです。食堂の経営は、地域の人にお願いしています。

 ナムディン農業高校は法律的根拠がなく、中卒の農業職業訓練校に普通教育を実施する教育センターからの派遣で高校卒業資格を出せるようにしています。ベトナムの研究者が紹介している中等職業学校というのは誤りで、大学4年卒業と高校卒業後に2年間の職業訓練を受けての卒業証書です。中学校卒業でも2年間の職業訓練でこの証明書をもらえます。

 普通教育や倫理や集団性の人間形成の教育はありません。現在、農林大臣・教育大臣と詰めの協議を行っています。このために日本の職業高校の学校教育法や産業教育法、それらの省令、学習指導要領などの法的根拠などの翻訳をしました。神田とロイで行いました。ベトナムと日本との教育制度や教育の概念が異なるので苦労しました。今まで紹介されていることの間違いもわかりました。

 12月1日に一定の方向性が出ます。将来的には、ナムディン農業高校は、全国に27ある農業職業訓練校を農業高校として整備していくのが現在の農業大臣の考えです。そのモデルとして、ナムディン農業高ができないかと、この間に3回大臣が訪問しています。

科学を学ぶことを基本に授業の編成をしている。

 空気とエネルギーの授業でした。次は、農村のエネルギー開発ということで、水力、風力、バイオマスなどの創造ですが、どう体を動かしながらの授業模索です。日本のように電気をつくる簡単な実験装置がありません。狭い農業にすぐに役にたつ職業訓練的知識ではなく、科学を学ぶことを基本に授業の編成をしています。将来、自分で農村の起業おこしをしていくことで、創造的力に、科学が必要だからです。

 学校内に落花生を植える畑づくりを堆肥づくりからはじめています。日本の有機農業の専門家から学んでの応用です。宮崎県の技術指導もあります。付加価値の高い農業ということで日本の六次産業の発想からと農産物加工を重視し環境と農業の科目のカリキュラムをたてています。
 鹿児島からの応援を期待しています。このなかで鹿児島を好きになった青年が鹿児島に学びに、または実習生にくることで鹿児島の活性化を期待しているところです。

 花卉栽培、水耕栽培の農家調査に生徒たちと一緒に行きました。大変に私自身も勉強になりました。また、ほとんど全員ノートをとって熱心にメモをとっていたのは驚きです。ノートを忘れた生徒は友達から借りて書いていました。大いなる生徒たちの学習意欲でした。授業とは違う光景でした。

 農業の先生と日本語の先生と生徒たちが一体となって、畑の開墾、農業基盤整備をしました。古い井戸を復活させて、開墾した実習畑の足りない水を充分にするためにみんなでの作業でした。花壇づくりもはじめました。学校内にゴミを捨てないことやゴミを拾う指導もしています。土曜日、日曜日に学外からの社会人の教育も行っています。

 食堂の裏のサボンの植えたところにニワトリを飼うために囲いの作業もしました。安心安全の食材として、農業高校内で少しでも自給自足していくことは素晴らしいことだと思います。学校全体として、有機農業、安心、安全の小さな六次産業を取り組んでいるようです。

最大の課題は日本語能力不足、次に安定的継続的な雇用。

 ところで、鹿児島県の策定した令和2年3月のかごしま外国人材受入活躍推進戦略を読みました。
 この戦略にあたっての調査で受け入れ業者の最大の課題は日本語能力不足をあげ、次に安定的に継続的雇用できるかということが出ています。われわれ財団の目標の大きな課題でもあります。ナムディン農業高校で日本語を週6回やり、日本への就職を保障することは日本の鹿児島にとってもベトナムの青年にとっても両方がハッピーになることです。

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